現在、親友が藤本ひとみにハマっている。本人、わたしがその本について日記に書いたことをすぱーん!! と忘れており、「どこかで見た名前だが、他の本は出してないのだろうか?」などと訊いてきた。
いや、ちょうど君が読んでいる本は……
ハプスブルクの宝剣》の主人公は、ユダヤ人である。「パンは用意したのかね」というようなセリフがあるが、イスラム教のように派手な宗教ではないようで、わたしはそのパンを想像するしかなかった。じつはベーグルだったのだが……マコーズのベーグルを山ほど買って、それから知ったわたしは、神妙な気持ちでベーグルを食べた。
主人公の親友になる、マジャール人がやたらと熱い男だったので、どこかにそんな人間が居た気がする…と思ったわたしは、その人物にメールをしてみた。くだんの友である。しかし、まだ藤本ひとみを読んでいなかった本人には、うまく伝わらなかった。ところが、古本で買ってハマったというので、「そっちにマジャール人のバチャーニという人物が居る、さっさとそこまで読んでくれ」という脅迫要請にも応じず、相変わらずのマイペースで読んでいた友は、カール・バチャーニが出てきた段階でボー然としていた。
これで《聖戦ヴァンデ》あたりだと、ミストゥフレだったりとか、《鑑定医シャルル》だと、通りすがりの人であったり、《聖アントニウスの殺人》ならば、駆けずりまわっている警部だとか、《ブルボンの封印》だと、ヒロインの妹(ただし悪役)になったりするのだろーか…
藤本ひとみの作品は、舞台が違っていても、テーマがある。
そこが、わたしの愛すべき理由なのである。