親友が借してくれた本のなかに、チェ・ゲバラ回顧録がある。世界情勢に疎いわたしでも、ゲバラの名前はどこかで拾ってきて、知っている。ゲバラの本には、カストロが文章を寄せているが、何だか長い。演説のときのものもあるというが、この文章を最初から最後まで読むと、ものすごい時間がかかりそうだ。
6時間くらい、平気で演説してる。
親友は言った。
生きていたなら、ゲバラもそうなっただろうか?

ゲバラ回顧録は、おもに南米旅行のものと、ゲリラ戦時代のものに分かれる。前者はユーモアに富んだ文章で構成されており、「大学の単位があるからちょっと帰ったんだけど」なんて言いながらも、流れつつバイトをしたり、海を見つめたりしている。
それにしても、男性の旅行はこんなにもサバイバルな内容なのだろうか。日本のツアーがいかに『お上品』かが、これを読むとわかってくるが、こんな旅行をしていたら、まず日本人は行き倒れになるだろう。自衛のためにピストルを枕元に置いて寝るということ、そのピストルを闇夜でも撃てるということ。このふたつの前提があってはじめて、ゲバラの辿ったルートを確認することが可能となる。

ペニシリンを「珍しい薬」と言ったゲバラ
やはり同じようなことを言った主治医。
それを再確認したわたしは、本を手にしてぼんやりする。