精神科の待合室で待っているあいだ、絵を描いた。まずは人の絵。
…主治医に見せたけれど、色んな方向から眺めてをくり返すだけで、何も教えてはもらえなかった(そもそもこのテストは産婦人科のカウンセリングで渡されたものなので、勝手に精神科で教えてもらうわけにもいかないのだが)
人の背中には羽こそなくなったが、相変わらずわたしは現実問題への直面が苦手なのだろう。
…実際そうなのだ。

昔から、発表すること(人の前に立つこと)も、注目を浴びることも苦手でたまらなかった。失敗しても叩かれたりするわけではないのに、どうしても怖くて怖くてたまらなくて、今でも「どうして怖いのか」説明することが不可能だ。
今振り返ってみれば、もうわたしはあの頃から何かしら発病の傾向があったのではないだろうか。写生をしたときに「そこにないもの」を描いて、注意されたこともあるし、逆に「そこにあるもの」が描けなかったりもした。後者は前者よりも少なかったが、机の整頓すらできなかったこともある。



何故。だとしたら何故。
気づいてもらえなかったのだろう。
「絵が好きだから、ないものまで描くのだろう」
「片付けができないのは、今までやったことがないだけでは」
「人の前に立つのが怖いのは、慣れていないだけだ…」




わたしは、小学校1年生で既に不登校児だった。

このときに気づいていればと思っても、もう遅過ぎる。



最後に採血をした。
結果が出るのは、早くて来週の真ん中あたりだろう。
肝臓が健康であることを祈るばかり。
わたしは、ぎりぎりの量の睡眠薬を飲んでいる。もう、ずっと。
1つだけでも切りたいと言ったら、主治医は「でも、あなた、眠れないのはつらいでしょう」…と返してきた。そうなのだ。いったい、わたしは、この先生に何度「眠れないんです、寝かせてください」と泣きついたことだろう。なのに、わたしはそれをもう忘れてしまっているのだ。たった1ヶ月前ぐらいのことだろうに。
健忘にもほどがある。