朝、大学の友達からメールが入っていた。
「コーヒーのコマーシャルで、何とか家族っていう外国のお寺がなかった?」
いうまでもなく《聖家族》だな、というのは理解できたが、習ってもかじってもいない外国語なので、何とかファミリアとしか呼べず苦しんだ挙げ句、ネットで調べることを思いついた。
わたしが最初に頼った書物は《冷静と情熱のあいだ》。…国からして違ってないか。


まず「聖家族」で検索にかけると、観光系のサイトがひっかかった。
「ガウディは知ってるけど、これ、誰?」


その名は、フランシスコ・デ・ビヤール。
最初に建築を考えたのはこの人物であるが、浄財が足りなくなって中止ってあたり、「一体何を作りたかったのだ」と思わせる。日本でも同じようなことは起こっていて、「お金足りないし!!」だの「土地狭いし!!」…果てには「あっち、鬼門だし!!」…なんて理由で建築を取り止めたものや「オバケ出るし!!」という理由まで出てくる。
日本人は昔から迷信深かったとか言われれば、それまでなのだが。


友達はどうしてもガウディの名前が思い出せなかったようだ。
わたしはといえば「へー、あれ作ったのガウディじゃないんだ」…
つくづく、無知なままの海外旅行経験がなくてよかったと思った。


聖家族。
あのゴシック様式の建築物が完成する頃、我々は生きてはいない。何百年も長くは、生きていられないからだ。
200年か。それとも300年か、400年か。
ずっとずっと先に生まれた人間が、作って完成させていく建物。
わたしはそのスケールの大きさに、軽い眩暈すら感じた。