また切る。
最近落ち着いていたが、傷痕が消えてくると、駄目になるようだ。
わたしのやり方は姑息であり汚い。決して、手そのものに障害が残るような切り方はしないし、血がほんの少し出れば良い。貧血になるほど切りもしない。縫わねばならぬほど切りもせず、ただ、手首を見つめて刃を動かすだけ。
たまに逆方向に刃を走らせる。

…寝ぼけて怪我をしたのか、右肩甲骨が痛む。日曜日にこさえたたんこぶも痛い。こんなに痛いのに、転んだことも、頭をぶつけたことも、自分のことではないように感じる。
ご飯を食べても、満腹感が一時的なものでしかなく、また食べようとする。食べようとしても、体が受け付けないのは当たり前で、わたしの胃は普通よりも小さくなっている。
それでも食べようとして、食べ物を手にしている自分にウンザリする。ウンザリしたところで食べる気がなくなり、かわりに、悪阻のようなむかつきがする。
自分に対して。

何が満たされないと、いうのだろう。
茫然として、わたしは今日もカッターを引く。