マイクル・クライトンの本をひと息に読んだあと、深い脱力感に襲われた。読もうと思って本棚から引きずり出してきた本が読めなくなり、うっかりすれば、本が開いたまま降ってくる――持っていられない。かといって眠いわけでもなく、ボンヤリと天井を見て布団を転がる。
しなくてはならないことはあるのに、体が思うように動かない。家から出られない。家のことは大体できる――食事の仕度、掃除、お風呂、洗濯――のだが、ドアを開けねばできない用事に及ぶと、途端に動けなくなるのだ>つまり買い物へは、介護がないと行けない
注文していたアダプタが届いたから、受け取りにいくべきなのに、わたしは家で何をしているのだろうか? やるべきことは、わかっている。ただ、どうしてもそれが、目の前の断崖絶壁のように、わたしの足を竦ませるのだった。

何も、とって喰おうという世界ではないだろうに。