やっと皮膚科へ。食材の買い出しも兼ねていたので、父には先に帰っていてもらう。皮膚科といえば、子供がかなり多い診療科。しかも開業医ともなれば、相当の混雑を覚悟しなくてはならない。以前、ゾビラックスを飲むしかないよーという『帯状包疹』になってしまったとき(退院直後の体力低下と肉体・神経酷使が原因)、この先生って運悪く休診だったように思う。
かかりつけ内科の紹介で面倒を見ていただくことになったこの皮膚科には、数年前からお世話になっている。ただしカリエスでまだ耳の主治医が総合に在籍していた頃は、大阪から戻ってきても間に合わないということ、薬が複数出されると患者側の管理が大変になってしまうということもあって、総合のほうの皮膚科に行っていた。もともと肌が丈夫ではないわたしは、簡単に家事で湿疹ができてしまう。夏場になると特に悪化しやすく、診察券の日付は去年の夏になっている。
きょうび携帯も進化し、アプリで楽しみたい人のために電波をカットする機能までついているが、それでも病院や電車内で携帯を使うのは非常識だ。わたしのW21CAにも電波オフモードがあるが、果たしてそこまでして携帯をいじりたいのだろうか、と疑問に思う。
自分でものを考えない人間というのは「あそこの人がやってるからいいじゃないか」という理由で、それこそ人殺しまでやってしまう。その脳みそは果たして何のために頭蓋骨に詰まっているのか、考えるためじゃないのか? …なんて気持ちでドアをくぐると、携帯バカが絶滅していた。
先生は別に怖い人ではないのだが、どうやら診察室に響く騒々しい音で支障をきたしてしまったらしく、「お静かにできない方はご遠慮ください」…というポスターが追加されていた。診察室と待合室はドアで隔てられているが、受付の窓口と診察室がつながっていて、それで診察室に音がやたらと響いてしまうのだろう。わたしは振動を音のかわりに感じるが、今日ここに来るまではひどいものだった。あれだけ響けば、相当うるさい音が出ていたのだろうが、赤ちゃんが泣いたりするのは仕方ないとしても、行儀の悪い子供をたしなめることもしない親ってどうよ?
受付で挨拶をすませて「やっぱり待ちますか?」と訊いてみたらば「1時間以上は」と筆談で返され、ひざがかっくんとなったが、待たなくては診察も処方も受けられないことはわかりきっている。携帯をここで使うのはバカだけでよろしいと目の前の患者に軽蔑のまなざしを向けるも惜しく、クリニックで置いていてくれている雑誌を読む。《スクリーン》より《アエラ》にすべきだったのだろうか、なんて、そんなところでも少し迷いながら、水分補給しつつ待つ。
そして、お手洗いの鏡で妙なことに気づいた。唇の内側に、紅色の点がポツンとできている。その下には白くなったアフタがあって、口を縦にあければ唇の両側がぶちっと切れて、体にいかにも栄養がまわっていないのが一目瞭然だが、アフタはともかくどうしてこんな赤い点ができてるんだ?(沼のような汗)
恐怖で真っ青になってお手洗いから出ると、むしろ真っ白になっていたのか、周囲の席が空いていく。少しありがたい…と、成長したダニエルくんに仰天し、今は亡きレスリーを偲び、アンジェリーナがシングルマザーだと知って卒倒しかけ、待ち時間にこれだけ雑誌にのめり込めるのも幸せな特技だ。都合2時間待ちとなった。
本来は、乾燥肌がつらくてたまらないのです!! と訴えにここへ来たはずなのに、コレハナンデスカ? と硬直して唇をまくった。先生は皮膚科御用達のルーペで2度もじっくり観察してくれたけれど、
「あー、血腫ですねぇ」
そこで血腫というと、クモ膜下だの硬膜外だのってそんなわたしって死ぬんですかコレって何なんですか内臓にもできちゃうのですか巨大化して破裂して出血多量で死にませんか? というような顔になっていたようで、「心配ありませんよ。要するに血マメです」と、逆に、それより僕はあなたがどうしてアフタをそんなにこさえているか気になりますが。というような顔をされた。唇を噛む癖ができてしまっていたらしい。
エバステルもポララミンもニポラジンもタリオンも効かないということで、クラリチンという聞き馴れない薬を処方された。飲みあわせが悪いのはエリスロマイシンで、エバステルの仲間みたいな感じがする。そして…ついにステロイド含有軟膏も出た。あああ塗りたくないいいい!!!! と、あからさまに表情に出してしまった。睡眠を得たいなら、これしかないというのに。

1800円です、と言われてちょっと後ろに吹っ飛ぶような衝撃を覚えながらも、会計を済ませて帰宅。ちょっと野菜が足りなかったから買いたいかもなあ、でももう8時だよ……切っていた携帯の電源を入れると、4通もメールが届いていて、うち2通は「?」な内容。感動するものを求めて《スクリーン》の影響でツタヤに入ったわたしが、それが何だったのかに気づいたのは、「Xファイルのセブンシーズンはどうしてないのか」と、スカリーと睨めっこをしてからだった。
パニック発作を外出中に起こした親友からのメールで、わたしの知らない薬しか持っていないという内容だった。あいにく元主治医のアドレスは新しい携帯に入れる前にMacとともに消えていて、最後のドコモ携帯には入っていたことを思い出して、とりあえず家をかき回して古い携帯を見つけ、元主治医のアドレスも発見してメールしてみる。返事は「それを飲んでもらっても効きますから、飲むようにすすめてみてください」だったが、何をパニクったのか、親友にメールするとドラールと一緒に飲んでいた。ドラールも飲んだんじゃ寝てもらうしかない、発作のときは寝るに限るというのが元主治医(親友の現主治医)とわたしの意見で、一致したから寝ろといっても、なぜだかブログを作ったというメールが返ってくる。
ドラールって逆に興奮するような副作用あったっけ…と思って調べてみたら、聞き覚えのない薬はレキソタンの別名(ゾロ)だった。
ああ、レキソタンメジャートランキライザー、これでは動悸が治まっても意識が飛ぶのは当たり前だ。どうしてそんなものをドラールと寝るわけでもないのに飲んだのか、と数時間後に落ち着いてからメッセで質問してみたら、「主治医が飲めって言ってた」…という返答。「それはレキソタンで眠れないからドラールが出て、ドラールでも駄目なときにレキソタンも飲んでねってことで、発作に眠剤を飲んでも寝ないと駄目でしょ?」と静かに言ったら、どうも勘違いしていたようで、ドラールだけでいいのにレキソタンも飲んでいた疑惑。
レキソタンドラールがあるから、マイスリーレンドルミンを飲むならいらないんじゃない?
というのが、午前様になってから落ち着いて交わした会話だった。

パニック発作って馴れない(?)うちは怖いからなぁ…。わたしなんかは、デパスを1ミリ飲めばそれで今は落ち着くんだけれども、ちょっとレキソタンは外出先では飲めないだろう。元主治医が、しかもメールアドレスを教えてくれた人が、親友の現主治医でよかった。こんなときだけど。