朝、新しいエアコンが届いた。
室外機からの取り外しなので、結構大変だ(電器店のおにいさんが、だが)。室外での作業と音、また、わたしの部屋のことも考慮して、一番早い時間帯にやっていただくことになった。しかし今日も暑く、作業を一心に続けるおにいさんも、ときどき室外機の周囲を掃除したり、壁に穴をあける作業を見守るわたしも、知らないあいだに大量の汗をかいていた。
日焼けが怖くて長袖を着ているわたしが汗をかくのは当たり前なのだが、それにしてもおにいさんの汗は凄い。やっぱり働いている人は全然違う。「厭だな、働きたくないな」とは全然思えなくて、エアコンを取り付けるために頑張っているおにいさんが「凄いな」と思えて、何日か考えていたこともあり、働きたいなぁとは思うが、周囲はなかなか厳しいものだ。
パラソルをさして、ふらふらとエビアンを買いにいく。冷蔵庫でさらに冷やして「工事が終わったら絶対におにいさんが帰る前に起こして」と父親に伝えて、わたしは3つに畳んだ布団の上で丸くなって寝てしまった。朝の薬の副作用に耐えられなくて、屋外の作業を立って眺めていても、刺激を与えても、視界がまばたきをするとぐるっと軽く回るような感じが強くなってきて「ああ、駄目だ」と仮眠した。一瞬のうちに眠りに入り、一瞬のうちに目覚める。夜もこんなだと良いのに。
知らないあいだに室外機まで続くホース類? なのかな、にはカバーがかけられ、すっきり綺麗にまとまっている。わたしの部屋への取り付けも完了し、どうやって支えられているのかさっぱりわからない、重厚なエアコンの電源が既におにいさんによって入れられていた。
「つけてみましたけど、しばらく動かしておいてくださいね」
「はい」と返事したものの、2人には「ふぁい」と聞こえたかも(仮眠2度目)…それにしても眠い、起きていたいのに眠くてしょうがなくて、受け取ったエアコンをはめ込もうとして悪戦苦闘していたら、後ろから「それは上から差し込んでください」と言われて、初めてリモコンケースがスライドになっているのに気がついた。見ればわかるはずなのに、相当寝ぼけている。

おにいさんが帰るときに「ありがとうございました」とエビアンを渡すと「え、良いんですか?」と、凄く嬉しそうな顔をされた。あれだけ汗をかいて、直射日光の当たる場所での高所作業はきつかったろうと思うし、水分補給をしないと体に悪そうだったので、お茶よりエビアンを選んだのだが、おにいさんは美味しそうに半分ぐらい一気に飲んでいた。
やっぱりとても喉がかわいていたんだろうなぁ。父親は「取り付けるのが仕事やねんからほっといたらええやないか」などと抜かしたが、こんな暑い中でドライバーやカッターを使ったりする人の気持ちって、ボイラー技師にはわからないものなの? 確かに仕事でやってるんだから、おにいさんは炎天下で働いていても文句は言えないだろうけど、自分だけがエアコンのきいたリビングでお酒飲んでるなんて、わたしには受け入れられないし。



さよなら、わたしのエアコン。16年ありがとう。