わたしは、拒食と過食をくり返している。くり返したくないのに、何かの「きっかけ」で、食べられなくなったり、もしくはとても食べるようになってしまう。
簡単にいえば、均衡を保てない脳(精神)を持て余している。
自分で食事を作るという行為そのものが、わたしの生活には欠如していた。高校に入っても、満足にお弁当ひとつ作れなかった。お昼はいつもコンビニのパンで、「食べたくない」ときは、食べるものを持ってきているにもかかわらず、絶食すらしたことすらある。
だが、わたしは異常に気づけなかった。
気づきたくなかった。
まだ自分に異常があるなどとは。耳だけでじゅうぶんだと。




食べることは、生きることだと言われたとき、わたしはとっても驚いた。
20年以上も、そんな基本すら知らずに生きてきたからだ。


まだ、わたしは、自分のことさえもよく知らないようだ。
あけていない宝箱が散らばる、ながい廊下が続いている。
そしてわたしは、服に縫いつけた鍵がないと喚いている。
鍵なんて、自分しか持っていないだろうに。